建設現場で、無線指示だけで高層階に資材を運ぶクレーンオペレーターの姿に憧れていました
S・K
クレーンオペレーター

街の風景をつくる、オンリーワンの技術
駅舎、鉄道、高層ホテル、庁舎、病院、金沢城――
誰もが知る建物が、何もなかった空間に立ち上がっていく様子を、間近で見ることができる。
それはまさに、歴史の1ページに立ち会うような体験で、現場にいるたびに感動を覚えます。
あこがれから始まった、クレーンオペレーターの道
建設現場で働きはじめた頃、無線の指示だけで、運転席からは見えない高層階へと正確に資材を運ぶクレーンオペレーターの姿に、毎日憧れていました。
「こんなすごい技術を、自分も身につけたい」――そう思っていた私が、1年も経たないうちに国家資格の試験に挑戦することになるとは、当時は想像もしていませんでした。
学科では、高専時代に学んだ電気や力学の知識が役立ちましたが、実技は初めての体験ばかり。操作レバーの感覚を覚えるのに、かなり苦労しましたね。
繊細さと集中力が求められる仕事
私が扱っているのは「ラフテレーンクレーン」と呼ばれる小型クラス(吊上げ荷重12t)のクレーン。
それでも、5階建てのビルほどの高さまで荷物を揚げることができます。
この仕事で最も重要なのは、「どんな条件でも、安全かつ正確に、決められた場所へ資材を運ぶこと」。
両手両足を使い、指先のレバーとアクセルで微妙な動きをコントロールするため、常に集中力が求められます。
吊るされた資材が揺れると、作業の遅れや事故につながるリスクがあるため、資格取得後も練習の日々。
ドラム缶や角材など、形状も重さも異なるさまざまな資材を扱いながら、悪天候でも安定して操作できる技術を身体に叩き込みました。
ひとりの責任が、大きな信頼へと変わる
建設現場には多くの職人が働いていますが、クレーンを動かすのは自分一人。
だからこそ、プレッシャーはありますが、その分やりがいや責任感も大きい仕事です。
技術を磨けば、さらに大きな現場を任されるチャンスがある。
そのためにも、一つひとつの現場を大切にしながら、日々成長を重ねています。